私は寒々とした風景に惹かれるところがある。
みぞれを降らす灰色の雲が厚く垂れこめた原野とか氷雨に濡れる針葉樹林とか。

アイスランドのミステリでタイトル「湿地」って、それだけでなんだか神経痛が疼きそうなイメージに誘われて読んだ。
主人公の刑事の置かれている状況も、事件も、事件の真相も寒々しくて陰鬱。なのだけれどなんだかさらーっと読めてしまう。文章が簡潔で含みとか思わせぶりもなく、初めて読む作家だけれど、引っかかるものがない。良くも悪くも。
事件発生から真相解明まで、スムースに運びすぎでは?と思う。わりと好きなトーンの
小説世界なので、もうちょっともうちょっと粘って欲しかったという感じ。


読んでいて不思議だったのが、世界がものすごく狭そうだったこと。
首都レイキャビクが舞台なんだけど、東京とかN.Y.とかと明らかに規模が違いそうで。
調べてみたらアイスランドって、北海道を一回り大きくしたくらいの国土で、人口は32万人弱。レイキャビク周辺でその6割、18万人、が住んでいるというのだけど、18万人って三鷹市くらいだ。
確かにこじんまりしてる、かな?刑事の捜査の進み具合が、江戸の捕物帳並みなのはそのせい?
と思ったけど、江戸のほうが現代のレイキャビクよりずっと人口多かったんだよねー。

うーん、本の感想のはずが、まとまらない(笑)

アイスランド、ちょっと興味がわいたってことで。
続けて同じシリーズの「緑衣の女」読みます。
手放しで絶賛というわけではないけど、アーナルデュル・インドリダソン気に入ったみたい。かな?




コメント

はにゃ。
2013年12月26日9:52

イマイチですよね!(笑)

結構あちこちで評価が高かったのですが、個人的には雰囲気は充分あるのにストーリーはあっさりし過ぎている感じでイマイチでした。

そのうちに「緑衣の女」も読んでみようと思いつつ、手が届かずにいます。

アイスランドって遡るとかなり少数の家族のDNAでなり、女性は乳がん、男性は前立腺癌の確立がかなり高く、全国民のDNA情報が判明している(それを民間企業が管理して問題もあったり)、というかなり特異な国であるという前提を知らずに読むと余計に物足りない気がします。

北欧ミステリ、数年前にかなり人気が出たみたいなのですが、個人的にはあまり読んでいなくて。やっぱりミレニアムがダントツに面白くて(ストーリーの続編を書く作家が選定されたそうで)、「特捜部Q」が次点ですかねぇ。

陰鬱な雰囲気ということなら、ドイツに行ってノイハウスの「深い疵」もありかな。同作家の「白雪姫には死んでもらう」も田舎町が舞台で陰鬱なのですが、ストーリーがイマイチでした。えへへへへへ。

人物の深みがなんか物足りないんですよねー。やっぱりスカダーやボッシュが好き♪♪

美藤
2013年12月26日14:08

あはは、一刀両断ですね(笑)
確かに、もうちょっとなんですよねー惜しい感じ。

そうこれを読んでから知ったアイスランドという国の特異性のほうが興味深いです。
国民の遺伝情報は判明しててDB化されてるって、近未来SFみたい。
オーロラとビョークくらいしか知らなかったんですが。

「ミレニアム」は映画しか観ていないんですが(スェーデン版のほう)、ノオミ・ラパスのリスベットはすごく好き。映画で見るスェーデンの風景もこれまた寒々しくて良かったし(笑)
映画は原作と変更された部分があると聞いたような気がするので、読んでみようかな。

原作者が亡くなって、続編を書く作家が決まったって、良いニュースなのかどうなのか判断に迷いますよねー。小説のほうのファンには。
映画化前提でしょうから、映画のほうのファンなら問題なさそうだけれど。


はにゃ。
2014年1月8日11:19

自分が書いた湿地の感想を見に来たのですが(笑)。

ミレニアムは年末にスウェーデンじゃない方の映画を見たのですが、なかなかうまくまとめているなーっと思いました。

原作はエンターテインメントとして充分に面白いですし、個人的にもかなりお勧めです。やはり細部は映画では描ききれないですしね。是非読んでみてくださいまし。

風景も寒々しいですよ(笑)。

美藤
2014年1月9日17:54

いらっしゃいませ(笑)

細部をじっくりと読み解いてゆくのが小説の醍醐味ですものね。
映画のイメージは小説の邪魔にはならないので、「ミレニアム」読んでみますね。

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