５月の庭

午後４時。
玄関を出ると、もみじが葉枝を大きく揺らして挨拶してきた。

そんな気さえする、気持ちの良い５月の始まり。
昨日の雨で湿度もあって、空気がなんて良い匂い。庭のツツジが満開。

うちの庭にはツツジはいっぱい植わっているのだけれど、実はあんまり好きじゃない。花色、咲き方散り方、まとわりつく葉、どれもが暑苦しいから、私には継子扱いされている。かわいそうに（笑）。でも今日の空気にはツツジの花の香りが素晴らしい配合でブレンドされているので、ちょとだけ愛でてやる。よしよし。

うん、この匂いに、もう少しひんやりとした香りを混ぜたらいいかなー、なんて考える。
でも、こういう花の匂いは風に流れ去ってゆくから良いので、身体に留まってられたら鬱陶しいから却下。

もう一週間もしたら檸檬と蜜柑も花が咲きそうだ。これもまた素晴らしく美味しい空気を作ってくれるんだけど、空に溶けてゆくのが向く香り。

２、３日前から蕾が膨らんできていたバラが２輪ほころんでいた。
このバラは10年くらい前に私が気紛れに買ってきた小さな鉢植えを、父が庭に植えたもの。しっかり根付いて、よく咲く。四季咲きの品種らしく秋から初夏までぽつぽつと咲いてくれる可愛い奴だ。ツツジよりも贔屓にしている（笑）

５月最初のバラを摘んで父の仏前にあげる。


風薫る５月とはよく言ったものだね。
ほんとうに風が、空気が美しい。