「調香師の手帖」
2014年5月26日朝摘むジャスミン、夜摘むジャスミン。
月下香の官能、夜来香の気品、夜香木の甘い酸味。
その違いを体感してみたい。
鼻を掲げてくんくん嗅ぎ回っているのに、パフュームはもとより香料のこと、匂いのこと知らないことが多いなぁと。はたと。
入門編には選書が役に立つかな、と朝日選書の「香りの世界をさぐる」を借りてみた。
著者は資生堂の調香師として30年務めた方だそう。
俄かに香りにはまっている身には嬉しくなるような本だった。
香りをめぐる話はどれも面白く、研究者らしい解説もわかりやすい。なんて有難い本なんだろう。
ワンセンテンスの中に、香料やさまざまな植物の名前、匂いを表す言葉がいっぱいでひとつひとつの匂いを嗅いで確かめながら読みたいーと思った。
「匂い検索」ができるようにGoogleに頑張ってもらいたい。
並みの百倍は鼻が利くという専門家でも、香りを表現するときにもどかしさや苛立ちを感じるそうで、「香りそのもののために人間が発明した言葉というものは、あまり見当たらない」と言っている。
並みの嗅覚しかもたない私が匂いの迷路にはまりこむのも仕方がない話か。
考えてみたら、言葉が生まれるより遥か前、ヒトがまだ動物だった頃から匂いの感覚はあったわけで、そりゃ言葉はまだまだ追いつかないかもしれない。
この本は手元に置きたいと思い探したら、改訂版が文庫で出ていたので購入した。
香りがファッションにとどまらず、身体や精神、歴史、宗教、経済・・人の営みのあらゆる場面に大きな影響を与えてきたことを教えてもらった。
香りって、ほんとうに奥が深いなぁ。
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