「春を恨んだりはしない」
「春を恨んだりはしない」
タイトルに惹かれて読む。

副題にあるとおり池澤夏樹が震災をめぐって考えたことの書き下ろし。
このタイトルはヴィスワヴァ・シンボルスカの「眺めとの別れ」という詩の一節からとられたものだった。



  またやって来たからといって
  春を恨んだりはしない

  例年のように自分の義務を
  果たしているからといって
  春を責めたりはしない

  わかっている わたしがいくら悲しくても
  そのせいで緑の萌えるのが止まったりはしないと

                      沼野充義・訳
          


シンボルスカという詩人のことはまったく知らなかった。
ノーベル賞を受けたポーランドの女流詩人。

世界中に、私の知らない詩や物語がどれほどあるのかな。
こうして知ることができ読むことが出来ただけよかった。



  
  また再び訪れた春への
  悲しみはない

  毎年のようにそのつとめを果たす
  春を責めるつもりはない

  私の悲しみが もえいずる緑を
  おしとどめることなどないとわかっている

                      つかだみちこ・訳



シンボルスカの詩集を借りて読んでみる。
訳者によってずいぶんと印象が違う。

原語では、どんなリズムで、どんな単語で、どんなトーンで綴られているんだろう。
一文字も理解できないのに、とても気になる。







コメント

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索