「兵士A」

2016年8月25日 日常
「兵士A」
「兵士A」
渋谷アップリンクへ七尾旅人の「兵士A」を観に行く。
 
DVDは七夕の発売日に手に入れていたのだけれど、観る気になれず。
3時間の重いテーマだから、ということではなく、自宅で「ながら観」したくなかったから。
DVDも最初は大きなスクリーン、場を満たす音で観たいと思った。
劇場という空間が必要だった。
 
やっぱり観に行って良かった。
昨年11月は、まったく予備知識なしで、どこへ連れていかれるのかいつまで続くのかわからないまま戦場のノイズに呑み込まれるように、再演不可能なライヴに立ち会っていた。
映像版では、すこし距離置いて七尾旅人のパフォーマンスを聴いた。
距離を置いて、むしろ深く聴くことができた気がする。


もう何度も聴いている「兵士Aくんの歌」
大好きなスタンダードナンバー「Fly me to the Moon」
ロケットを抱えて太陽へ飛んだ永遠の少年「アトムの思い出」
なにもないふりをして笑う「完全なる庇護」

何度も心臓が震えた。
全編通じて旅人の声に寄り添って流れる梅津和時さんのSaxも素晴らしかった、とあらためて。あのSaxの音が旅人をステージに繋ぎとめていた気がする。
エンターティメントという言葉が適切かわからないけれど、命削るように重い主題を奏でるさまを充分に堪能した。

いまはこういうパフォーマンスにしか心が動かない。

この「兵士A」の対極にあるのが、リオ・オリンピックの閉会式のセレモニーだね。
心は冷え切り脳が沸騰しそうだった。




いま日本人は、最初に戦死する自衛官の姿をリアルにイメージできているか。“戦後日本”という言葉に幕引きをする、極めて特異な存在です。真剣に作品化しなくてはと感じた。   七尾旅人 AERA 2016年8月29日号 





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