植物の時間
植物の時間
また金木犀が匂っている。

今日のひんやりした空気に溶けて匂うのが、金木犀らしい、と思う。
9月の、あの暑い日にむせ返るように匂ったのはなんだったんだろう?



3年前に買ったピラカンサが、今年紅い実をたくさんつけた。
去年一昨年は花を見た記憶がなく、実もならなかったのが、今年は枝をぐんぐん伸ばして白い可愛い花を咲かせ、実った。

植物には植物の時間があるのだなぁと思う。
私の庭にいるけれども、彼らは彼らの時間で生きている。

あ、逆か。植物の時間の流れに束の間、ヒトが登場してるだけか。
植物は30億年以上ここで生きてるんだもんね。
植物が地上から消えたらヒトは生存できないけど、ヒトが絶滅したら植物はのびのびといま以上に繁栄するだけだね。


植物の話で「植物には生物学的な“死”というものは存在しない」というのが印象深くて、ひとが絶滅したといってリストに載せている植物も、ひとがそれとして認識できないだけで、実は地中深くにちいさな根が残っていたり種がねむっていたりするだけなんじゃないか、なんて思う。植物は胚細胞ひとつからでも再生できるらしいし。

ひとの時間で計って“絶滅”って大いなる勘違いかもね。
 
 

秋の庭は、春の花の時期ほどの派手さはないけれど、植物がいきいきと動いているのがわかる。
柑橘類は実を太らせ始めているし、ムスカリは青い葉を芽吹かせて花を咲かせる準備を始めた。辛夷も種を赤く染めて鳥を誘いどこかに旅立とうとしてる。



庭の樹や草を見ていると、――目の前にあるのが枯れかけたアジサイや伸び悩んでいるギボウシでも――大きないのちがイメージされる。
健気に生きてるとかそんな感傷ではなくて、もっと悠々としたもの。
 


私の大好きなこのモミジ。
私はかいがいしく世話している気になってるけど、彼からしたら、ちょっと大きな虫が束の間とりついてたくらいの感覚なんだろうなぁ。

やっぱり、来世は大きな樹に生まれ変わって、植物の時間を生きてみたい。
 
 
 
 
 
 
 
 

コメント

はち
2016年10月28日9:30

確かに、今年のキンモクセイ、二回目の開花はしけてましたね


「彼からしたら、ちょっとおおきな虫が束の間とりついたに」に笑っちゃいました

植物の時間も永いですが、その先には岩石の時間という、それはそれは悠久な時間があると、学生のころ、鉱山科の友達から聞いたのを思い出しました
大型植物が現れたのが4億年前、花にいたっては1億ちょっとの歴史ですから
山に登って、植物限界を超えた岩肌だけの世界にいると、あ~この岩の歴史に比べたら人間なんてちっちゃいなと
でも、来世は大きな岩に生まれ変わろうとは思わないな(笑

美藤
2016年10月28日12:04

大きな岩ですか?…それは生まれ変わっているのでしょうか?(笑)
そこまで行くともう地球に還元して星の時間を生きるとこまでいきそうですね。
輪廻転生はせめて生物で、と思いましたが、富士山あたりに生まれ変わってときどきどかんと噴火したりするのも悪くないかも?(笑)

はち
2016年10月29日0:07

岩にも輪廻転生はあるみたいですよ
深い海で堆積物にすっごい圧力がかかって岩になって、地殻変動で山になって、風化作用で砂粒になって、海に流されまた堆積して....
なんてね

美藤
2016年10月29日2:50

悠久の時間ですね。その輪廻にはまったら私の意識なんか溶けて蒸発してますね(笑)
なんだか手塚治虫の「火の鳥」読み直したくなってきました。

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