眠かった。
抗えない眠気、いや、ゆだねてしまいたい眠気が、青葉市子が歌いだしてすぐに襲ってきた。
身体を支える筋肉のすべてが休止して沈んでいく感じがわかった。
瞼が重い、身体が重い、かろうじて椅子から転げ落ちないようにバランス感覚は働いてたけど。拍手したいのに手を上げることができなかった。
歌は聴こえているの、彼女のギターと歌声が気持ちよくて、しばし私は聴覚だけのイキモノになってたかも。
市子ちゃんにかけられた催眠術がぱっと解けたのは、「冷えた高み」を彼女が歌いだしたとき。最初の2音で身体がシャキっと目覚めた。七尾旅人は私を覚醒させる。
青葉市子のソロ・ライヴ「まぼろしや ほろぼしや」を聴いてきた。
「このホールは……」 「銀座線の音がします」
「これ銀座線」 500人が一斉に耳を澄ます。
言われたからか、そのあともずっとゴウンゴウンという地下からのひそかなノイズを耳がとらえてた。ホールの環境として良いのか悪いのかわからないけれど――たぶん良くはないよね(笑)――青葉市子の歌の世界にはすんなり馴染んでた。ホールの空間を銀座線がふっと横切っていくような、ホールごと銀座線でどこかに向かっているような。
青葉市子も七尾旅人も、ノイズを自分の音にしちゃう人。イレギュラーに飛び込んできた音に合わせて歌いだしちゃうようなひとたち。
青葉市子の「まほろぼし」は、まほろばの星なのかな、滅びの星、なのかな。
ライブの終わりに、白いふわふわの星をそっとまいていた。
2016.11.2 草月ホール
抗えない眠気、いや、ゆだねてしまいたい眠気が、青葉市子が歌いだしてすぐに襲ってきた。
身体を支える筋肉のすべてが休止して沈んでいく感じがわかった。
瞼が重い、身体が重い、かろうじて椅子から転げ落ちないようにバランス感覚は働いてたけど。拍手したいのに手を上げることができなかった。
歌は聴こえているの、彼女のギターと歌声が気持ちよくて、しばし私は聴覚だけのイキモノになってたかも。
市子ちゃんにかけられた催眠術がぱっと解けたのは、「冷えた高み」を彼女が歌いだしたとき。最初の2音で身体がシャキっと目覚めた。七尾旅人は私を覚醒させる。
青葉市子のソロ・ライヴ「まぼろしや ほろぼしや」を聴いてきた。
「このホールは……」 「銀座線の音がします」
「これ銀座線」 500人が一斉に耳を澄ます。
言われたからか、そのあともずっとゴウンゴウンという地下からのひそかなノイズを耳がとらえてた。ホールの環境として良いのか悪いのかわからないけれど――たぶん良くはないよね(笑)――青葉市子の歌の世界にはすんなり馴染んでた。ホールの空間を銀座線がふっと横切っていくような、ホールごと銀座線でどこかに向かっているような。
青葉市子も七尾旅人も、ノイズを自分の音にしちゃう人。イレギュラーに飛び込んできた音に合わせて歌いだしちゃうようなひとたち。
青葉市子の「まほろぼし」は、まほろばの星なのかな、滅びの星、なのかな。
ライブの終わりに、白いふわふわの星をそっとまいていた。
2016.11.2 草月ホール
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