美しき5月に

2017年5月23日 日常
美しき5月に
敬愛するW氏が亡くなられた。享年90歳。

はじめてお目にかかったのは30年以上前だけれど、その当時ですでに絶滅したと思われる「昭和の紳士」そのものだった。ほんとうに非の打ち所のない紳士だった。……という部分しか私は知らない。

入社した映画会社で「俳優になれ」と言われ固辞した、というのはWさんファンの作り話っぽいけれども、社史に載ってた若いころの写真見ると佐田啓二に似た容貌なのでそれもありえるかもと思える。お歳召してからもダンディだったし。
そういえば奥さまは草笛光子のようなしゃきっと格好いい方で、なんかもうあこがれるのもおこがましいようなご夫妻だった。


訃報をもらって、家人と「亡くなっても、スマートだよね」と言い合った。
「通夜も告別式も行いません。明日、〇〇にて10時より火葬式を執り行います」
普通の葬儀でも火葬場にまで同行するのは身内だけだ。火葬式なら、義理やつきあいで参列するひとはいないだろう。
そう、死顔を見てもらっていいひと、骨を拾ってもらいたいひとなんて何人もいない。
「骨拾うくらいの縁と思うひとだけ来てちょうだい」という奥さまのメッセージらしい。もちろんお香典、献花も「かたくご遠慮」。曰く「めんどうだから持ってこないでちょうだい」ってことね。
ほんとカッコいいんだこの奥さま(笑)
お子さんもいらっしゃらないので、墓はつくらず、戒名もなし。
佳き日を選んで、相模湾に散骨するという。

縁の深い家人が参列させてもらった。
ほんとうにお世話になったと言えるひとばかり、数人の親族とあわせて30人ぐらいでお骨が上がるまでの時間をゆっくり過ごしたという。
骨拾わせてほしいと思う年下の知人が20数人いる、というのを人徳というのだろうなぁ。

亡くなられた日が、私の誕生日で、そのことさえなんとなく嬉しく感じる。
それくらい素敵な方でした。










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