STING 　57th ＆ 9th Tour

2017.6.7 武道館

♪Be yourself no matter what they say
♪I’ll send an SOS to the world
♪Roxanne you don’t have to put on the red light

田安門をくぐり出て5日経つのに、スティングの歌声が頭の中でずっと聴こえる。

まったく予習なしで出かけたけれど、スティングが歌うなら、はじめて聴く曲だろうが何曲でも聴いていられると思った。
スティング、若いころよりも声が良くなっている気がする。ビーチグラスの表面のような、つや消しのかかった声。フロストグラスのような、霜の降りた声。
だけど歌い方は艶やか。声量も衰えてない。
時に磨かれたビンテージヴォイスに、遠目にもわかるシェイプされたボディライン。変わらぬ俺様っぷりにひれ伏したくなりました。


オープニングアクトで、スティングの息子が歌った。
歌いだすと武道館がどよめいたほど声がスティングにそっくり。
スティングの声のジョー・サムナー。これって、絶望的な幸運じゃない？
スティングのステージでは、中盤にデビッド・ボウイ追悼で 「Ashes to Ashes 」を歌った。いいけど。スティングに歌って欲しかったな、って思うのは贅沢？
いや、ほんと悪くないのよ、なんたって声、スティングなんだから！
だけどそれじゃ、第一声で会場をどよめかせるしかないじゃない。
人柄も良さそうだし（…ってぜんぜん歌と関係ないし）それゆえになおのこと、私はあまり彼を見ていたくなかったなぁ。

ギターのドミニク・ミラーの息子もバンドメンバーとしてステージにいたけど、こちらは胸ざわつくことなく見ていられた。楽器と声では受け継ぐものの質が違い過ぎるから。ドミニク＆ルーファスのミラー親子のダブルギターを左右に従えた絵面はなかなかステキだった。

結局。
スティングの声を何人の息子が受け継ごうとも、スティングを受け継ぐことは誰にもできない。これこそ正しく「唯一無二」と言う。

スティングに拝謁叶って恐悦至極の夜でございました。