「白いリボン」
「白いリボン」
ふう、、じわりじわりと気持が重くなってくる。
嫌な映画だ。
映画に描かれている世界が。


1913年のドイツの北部の村。
荘園の主の男爵。荘園で働くことで生計をたてる村人。
村の唯一の医者。愛人関係を続ける助産婦。
牧師。その子供たち。
そのいちいちがとても抑圧的な関係で息苦しくなる。

事件性のある事故が次々と起こる。
犯人探しのミステリではない。
村で何が起こっているのか誰もが知っていて、素知らぬふりをしている。
異議を申し立てても結局はさらなる不幸に襲われる。
大人たちがなにをして、なにを隠しているのか、子供たちが感受する。
その子供たちも抑圧されて、不安定で不穏だ。
本能的に息苦しさから逃れようとするのは子供だけれど、でもその行動はたぶん自分もほかの誰も救わないし無残なことになるだけ。子供なんだから。


1914年にはセルビアでオーストリア皇太子の暗殺。
そして第一次世界大戦へ、そういう時代。
この小さな村が時代の縮図。


透明なビニール袋を被せられて、酸素を消費しつくさないように息を詰めて生きながら、でもじわりじわりと終わりが近づいてくるのを意識し続けるような。
窒息するまでこの閉塞感に気づかぬふりしてしまうんだろう、いつの時代も。

あーなんでこんな嫌な映画観ちゃったんだーーー。
めちゃめちゃ気持が沈む。沈んで沈んで、いまや妙な諦念に満たされているよ。

面白い映画とも良い映画とも言わないね、こういう映画。
嫌ぁ~な傑作、とでも言うのかな。


・・・・・

しかし、時々思うけど。
こんなしあわせな気持をひとかけらも感じさせてくれないような映画をなんで好き好んで観るんだろう、私?




コメント

はち
2017年12月1日15:21

見ましたか、このロクでもないものの映画を
きっと美藤さんはMなんです!

近代になり、人間は自由という素晴らしいものを手に入れたのに、問題だらけの社会しか作れないという真実を、ハネケ監督は映画で伝えてくれる。そして、その真実に向き合うことは、人として大切なことだと信じているから、こんな映画にお付き合いするのかなと
言葉では伝えきれない大切なことをいっぱい教えてくれる映画って素晴らしい
ちなみにハネケ監督の新作は難民問題がテーマらしい、こちらも楽しみ

美藤
2017年12月1日22:43

2017年ですよね、いま。この村と今の日本、世界、どこが違うんでしょう。
手に入れたと思ってた「自由」とか「人権」とか「民主主義」とかって、実は絵に描いた餅だったんですね。
はああ~ほんとこのロクでもない現実。ロクでもない人間。
何世紀経てもかわってない(この先も変わりそうにない)このロクでなさと向き合ってどうなるんでしょ?……とか言いつつ、またこんな映画きっと観てしまう私は自虐的な人間です((+_+))

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索