読みつがれる本

2018年5月15日 日常
平日の午後の電車の中で、向かいの席に座った女性が、本を読みながら涙をこらえていた。

ページを開いたまま本を遠ざけ、顔をあげて視線を泳がせる。すぐに本を膝に戻して視線を落とすけれど、やっぱりまた気を逸らそうと同じ仕草を繰り返す。こんなところで泣くのは困る、でも読み進めたい、どうしよう、、という葛藤が手に取るように判ってしまった。
彼女が手にしていたのはフランクルの「夜と霧」だったから。

ページは残り少なかったから、収容所で夕焼けを眺めるあたりか、解放されて麦畑を行くあたり、、かもしれない。それとも、、。

挙動不審な彼女にこっそりと共感のエールを送った。






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