「極夜行」
極夜――極地の冬に、まったく太陽が昇らない時期があり、それは緯度によって3ヵ月から半年続く。
あえてその時期に、北極圏を一頭の犬と旅する。極夜の真の闇を体験すれば「本物の太陽」を見られるのではないかというのが、この冒険行のコンセプト。

コンセプトって軽い表現と承知で使ってしまうのは、冒険のための冒険、って思えてしまうから。
いや、もちろん状況はものすごく厳しいんだよ?
ずーーーっと明けない夜なんだから、月のない時期は星はキレイだけど真っ暗闇。ヘッドランプで照らせる半径2~3mしか見えない。地形で現在位置を視認することができないから、北極星とコンパスを頼りに方向を確認して重いソリを曳いて進んでゆく。で、読んでて忘れがちだけど、気温は氷点下30~40度。今日は気温が上がって氷が安定しないとか言ってる日だって氷点下28度。
そんな真っ暗な極寒でブリザードにつかまって、爆風の中7時間雪掻きをするとか、、いやいやタフだなぁと感心はするんだけども。

冒険家でいるのも大変なんだなぁと思う。
もう、わかりやすい人跡未踏の秘境なんてないから。Google Earthで地球のほとんどが見られてしまう21世紀には、特別な時間空間を設定しないと冒険にならない。極夜っていうのは、ロマンチックだし悪くないけど、、、う~ん、読んでて無理やり感がある。

極夜の月に照らされた風景に、ああ、ここから先は宇宙空間なのだなぁと思えるような描写もあるんだけどね。読み終えてなにも残らないんだよね。冒険家アイデンティティ探しにつきあっちゃったなぁ、みたいな残念感。

一番サスペンスフルだったのは、食料が尽きて、食うものはもうソリ犬のウヤミリックしかない、、ってところかな(笑)





コメント

はち
2018年6月14日20:52

白夜の反対語、極夜という言葉を知らなかった。英語でmidnight sunとpolar night、英語の直訳なんですね
この題名は白夜行をもじってるのかな?
白夜といえば、五木寛之の北欧を題材にした小説集を思い出す
犬を食べたのかも気になる〜、喰ってないに1万円!
気になるとこ満載の日記でした(笑、

はにゃ。
2018年6月15日18:25

前に『極夜 カーモス』というミステリ小説を読んだことがあって。アメリカ人でフィンランドに移住したジェイムス・トンプソンというミステリ作家の作品なんですけどね。その中で描かれていたカーモスを読んだだけで十分過酷だわーと思ったのを思い出しました。そら鬱病が多くなるやろ、と。

過酷だからこそ挑みたいってのは、ある種のアドレナリン中毒的な人のサガなのかしらん。冒険家に心を寄せられないタイプなので、多分読まないタイプの本だなぁ。へへ。

美藤
2018年6月16日0:26

はちさん

私も「極夜」って知りませんでした。
でも白夜で太陽が沈まないのなら、地球の裏側では太陽は昇ってこないってことですもんねぇ。
たぶん「白夜行」のタイトルは頭にあったでしょうね。「極夜行」という言葉に惹かれてしまいました。五木寛之、北欧舞台の小説ありましたね、読んでるけど、、、すっかり忘れてます(笑)
ソリ犬、気になるでしょ?
はちさんの賭けを受ける人が現れて、賭けが成立したら答えを発表しますね~~(笑)

美藤
2018年6月16日0:58

はにゃ。さん

おお、「極夜 カーモス」、一昨年レビューされてますねー。ほんといろんなミステリ読んでますねー。
極夜、という状況とても興味を引くんですよね。
夜型宵っ張りの私でもさすがに3ヵ月続く夜はきついだろうなーと想像しつつ、一週間くらいなら体験してみたいような?(笑)
角幡氏が出発前に滞在した、極夜の村のひと達の暮らしぶりをすこし書いてるんですがむしろそっちをもっと知りたいです。
冒険記、探検記も、自分が絶対行けないだろう場所を代わりに行ってみせてくれるので好きなんですけれど、う~ん、これはね~準備に4年、資金も1千万(2千万?)越え、命まで賭けて、、のわりに読んでて発見がない、、という、、残念な。。。
うん、アドレナリン中毒、、まさにそんなタイプですねぇ。。一生ビバークしてれば?って、、ははは。

「極夜 カーモス」のほうが気になってきました。

はにゃ。
2018年6月20日17:33

もちろん小説でフィクションなのですが、その中で描かれる過酷な冬がとても印象深かった記憶があります。一口に北欧ミステリと言っても、やはりスウェーデンとフィンランドは違うし。

この作品はwikiいわく『カリ・ヴァーラは、ラップランド・キッティラの警察官。トンプソンの処女作『極夜/カーモス』(原題:Snow Angels )で初登場。シリーズ第2作『凍氷』(原題:Lucifer’s Tears )で、ヘルシンキへ越す。』となっていて、ラップランド(伝統的にサーミ人が住んでいる地域)というのも興味深かったです。

暗いのは共通してるけど、ヴァランダーシリーズとはまた全然違う北欧ミステリということになるかなと。

美藤
2018年6月21日13:50

「極夜/カーモス」いま手元にありまーす! 一昨日、借りてきてた(笑)
いま「許されざる者」が途中なので、まずそれを今日中に読み切る予定。

「極夜」2009年。「許されざる者」2010年。
フィンランドとスウェーデン舞台で、それぞれソマリア人移民、イラン人移民が事件の被害者で…。作品が生まれるなにか大きな社会背景があるのかな。

スウェーデンはスティーグ・ラーソンにヘニング・マンケル、アイスランドにインドリダソン、、、。北欧ミステリが充実してるねー。

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