怖い。怖い怖い怖い。
ほんとうに怖かった。
読みながら、いまにも家の土壁破って襲ってくるんじゃないかと、背後ふりむいて確認したくなる怖さ。
東京にヒグマいないってわかってるのに。
「羆嵐」を知ったのはラジオドラマでだった。30年くらい前。
友達が録音していたカセットテープを「これ、すごいから」と言って貸してくれた。ふうん、と軽い気持ちで聞き始めて凍りついた。怖くて。
たぶん、いままで経験した怖い作品のベストかもしれない。映像作品含めて。
例えば「エイリアン」とか「ジョーズ」とか「シャイニング」とか、怖いけど、映像作品は目をつぶって恐怖の瞬間をやり過ごすことができる。でもラジオドラマだと耳塞ぐわけにはいかないし、映像がない分を嫌でも想像が補ってしまうように作ってあるので、見えない怪物が襲ってくるという恐怖の臨場感は映像作品より勝っているかもしれない。
で、ラジオドラマがほんと怖くて面白かったので、いつか原作も読もうと思ってた。原作も、もうもうもう、ほんと怖かった。
「羆嵐」は大正5年に北海道入植地の山中で実際にあった獣害事件なのだけど、夜中に、体長3メートル、340キロの巨大な猛獣が力まかせに襲ってくる、何度もなんども、その夜の恐怖を想像しちゃうともう身体中の毛穴開いちゃうくらい怖い。相手は聴覚、嗅覚が優れていて夜目も利く。牙も爪も鋭くて、気配を消す能力さえ持っている。掘立小屋に身を寄せ合って松明を灯し続けるくらいしかできないそこを蹂躙しに来る。圧倒的な野生の戦慄。
「羆嵐」
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%BE%86%E5%B5%90
ラジオドラマは1980年。
倉本聰脚本で出演が高倉健、倍賞千恵子、宮口精二、笠智衆。名優ぞろいだ。
パッケージになってないのかな、もう一度聴きたいな。
素晴らしい!YouTubeにあった。
https://www.youtube.com/watch?v=5dLw4WwbRiA
(聞き直した。怖かったという記憶がふくらんでたかも。原作のほうが怖い)
コメント
数年前、秋田の鹿角で山菜採りの人が次々とツキノワグマに襲われたニュースを聞いた時に思い出したのが「羆嵐」。最初に襲われた人のニュースが流れた後も、タケノコ採りで山に入る人が絶たず、次々と襲われるのは、ホラー映画の典型的なパターンだと、妙に納得したのを覚えている。怖い、怖い
そうそうそう、ほんとヒグマの執着が凄まじい。
この三毛別の事件から、つい他のヒグマの遭難事件をwikiで読んでしまったのですが、「もう勘弁してください」っていうくらい執拗で怖すぎでした。リアル-パニック-ホラー、ヒグマ怖いー(泣)
去年だったか知床で遡上するサケを狙って出てくるヒグマの写真をかなり近い距離から撮影しようとする観光客が絶えないってニュース見て、みんなアホなの?って思ったけど、この作品を今一度布教するのが良いのでは、とふと思いました。
面白かったです。
北海道で見かけるクマ出没注意の看板にリアリティが増しました。
ヒグマ、日本に生息する最強捕食者ですもんね。