「ゴースト・ストーリー」
 
若松英輔の「魂にふれる」に書かれていた言葉を思い出した。
 

―――悲しいのは逝った方ではないだろうか。死者は、いつも生者の傍らにあって、自分のことで涙する姿を見なくてはならない。死者もまた、悲しみのうちに生者を感じている。悲愛とは、こうした二者の間に生まれる協同の営みである。
     



白いシーツをすっぽりと被ったオバケの姿がとても良かった。
いまならCGを駆使してなにかしら描けたかもしれないけれど、そうしないでシーツを被ってただ静かにそこにいるだけで “存在してる” ってことがとても良く伝わった。


万葉言葉の「孤悲しい」がシーツの中いっぱいに詰まってる………そんな風に思った。
オバケは、いつも生者の傍らで悲しんでいるけれど、でもいつか置き去りにされる。生者は、生きて、歩み出すしかないから。それでもオバケは待ち続ける。誰を待ってるのか忘れてしまっても。ただただ孤悲しさをふくらませて。

オバケがしぼんでしまわないように、シーツの裾を縛って、オバケの孤悲しさを抱きしめたいような心持になる映画だった。
観に行って良かった。


2018.12.19 新宿シネマカリテ




https://www.youtube.com/watch?v=kVn_yqwdyow











コメント

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索