3月の園芸家・芽
 
 


おや!こうして書いているあいだに、あの、「そら!」という神秘的な声が鳴りわたったらしい。朝のうちはまだかたい襁褓につつまれていた芽が、やわらかい葉さきを押し出して、レンギョウのしなやかな枝にきらりと小さな金の星がひかり、梨のふっくりした芽がすこしひらき、何の芽かわからないが、その先にみどりをおびた金いろの蕾がかがやいていた。ねばねばした鱗片からは、若々しいみどりが顔を出し、ふとった芽がひらきかかって、小さな葉脈と小さなたたみ目の、やさしいすかし細工が押しあって出ようとしていた。赤くなってはにかむことはないのだ。たたんだ扇をひらくがいい。うぶ毛をはやしてねむっている芽よ、目をさませ。スタートの命令が、もう出たのだ。楽譜にのらない行進曲の、はなやかなラッパを吹き鳴らすがいい!
               
     K・チャペック「園芸家12カ月」





水に挿したモミジの枝のつづき。
幼い若葉に抱かれた花芽。






コメント

はち
2019年3月28日1:17

モミジの殖やし方は実生だと思ってたけど、ググって見ると、盆栽用に挿し木を使っている人もいるみたいですね。ただ、芽は出るけど、根を出すのは難しく、植物ホルモンを使ってなんとか発根まではしても、さらに成長は難しいとも
地球の王・植物も不思議だけど、その潜在能力を引き出した挿し芽や取り木の方法を考えついた人間も素晴らしい。でも、これも植物が殖えたいために人間を使用している!?

美藤
2019年3月29日20:51

アジサイなんかは、テキトーに挿しておくだけでいくらでも根が出ますけど、モミジは根が出る気がしないですね。アジサイのような低木よりずっと“樹木”な感じで手強そう(笑)
でもモミジを挿し木するなら、秋に伸びた枝を、春に挿すのが一番いいらしいのですが、秋から翌春まで10センチくらいに切って冷蔵庫などで保管するってあって、枝がその状態で生きてるんだっていうのが驚きです。どんな状態からでも復活しうる植物って、ほんとすごい。
種も発芽率の良いの悪いのいろいろで、庭や植木鉢眺めてるだけでも面白いです。

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