ブルガリアン・ヴォイス
 
 
清しく麗しい、天上の音楽を聴いた。

昨年11月に三宅純のブルーノートで聴いたブルガリアン・ヴォイスが美しくて、機会があったら聴きたいと思っていた。

ブルーノートに出ていたのはコスミック・ヴォイセスの3人、昨日のはアンジェリーテという18人。
音楽を奏でる<器>としての声というのは、なんとも素晴らしいものなのだなぁ。 
曲はもちろんはじめて聴くものだけれど、ブルガリアという風土に息づく物語が感じられて、声の柔らかさと可愛らしいちいさなマイムで楽しく聴く。


途中の2曲に、雅楽器の笙を演奏するアンサンブルが加わる。
笙の音とブルガリアン・ヴォイスはこんなに親和性があるのだね。18人の声とみっつの笙が融け合って厚みが増して聴こえた。

アンコールで、笙の3人が、客席後方から笙を鳴らしながら登場してステージに上がる。あんなにちいさな楽器なのに、ホールに柔らかく響き満ちてくる。
笙って、ちいさなパイプオルガンのようだなと思いながら聴いたけど、構造的には同じ?親戚?なのかもしれない。

笙とパイプオルガンと、成立の場所も時代も異なるのだろうけれど、美しい音を求めた心がみつけた形なのかな、不思議なような、必然を納得できるような。

このアンコール曲は、18人の声とみっつの笙が出す音が、ざわめきのように響き渡っているのだけど、そのざわめきは複雑な音のモザイクのようで心地よい。
最後はモザイクのピースがほどけて空気に溶けてたなびいて消えてゆく。  
天上の音楽って、こういうものなんだなぁと思う。




すみだトリフォニーホール 2019.9.29








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