エッセイや小説で描写される料理が美味しそうで、食べたくなる時がある。
料理本ではないから詳しいレシピが載ってるわけではないけれど、適当に作ってみたらやっぱり美味しくて、これは作家の筆力のうちなんだろうなと感心する。

池波正太郎の藤枝梅安シリーズを昔に読んで、作ってみたアサリの鍋がある。今は、梅安鍋で検索すればすぐレシピが出てくるけど、小説の中の数行で描かれるだけだから、そんなに複雑なレシピじゃない。
薄味の出汁にアサリのむき身と千六本に切った大根だけの鍋。
初めて作った時はまだ若かったので、このシンプルさに、口が大人になったような気がしたなぁ。何度も作るうちに、油揚げが加わったり、薬味が粉山椒から柚子胡椒になったりしたけど。そうだ、アサリ、いまが旬だ。


今日読んでた本に「トルーチャス・ア・ラ・ナバッラ」という料理が出てきた。
マスのナバッラ風という、スペインの有名な料理らしい。
マスのエラと内臓を取り、背開きにして骨を外し、そこにハモン・セラーノを1枚挟んで小麦粉を振ってムニエルにする。バターとレモン汁のソースで食べる。
ハモン・セラーノは生ハムのことだそうです。生ハムの肉の旨味とびしっと効いた塩が良い調味料になるそう、、、美味しそうでしょ?

これが、いま、すっごく食べたい。ニジマス、ときどきスーパーにも並ぶよね。
ニジマス買ってまで食べたいと思ったことはないけど、今日、今、食べたい。

マス類は、釣りに行って河原で食べるものと思う。
カロー谷へ行ってた頃、朝に幸運な釣果があればお昼に焼いて食べたりした。
カロー谷だともうヤマメかイワナで、めったにランチタイムのメインディッシュにはならなかったけど。ヤマメの白くふんわりとした身は美味しかったなぁ。思い出の味は垂涎ってとこもあるけど。

そうだ、バターとレモン汁のソースで思い出した。
スリランカ料理のレストランで、たっぷりの甘いレモンバターソースに浸かって供される鶏のから揚げがある。ああ、食べたい。これ、ソースが美味しくて、スプーンで掬って最後まで飲み干してしまう。

あああ、なぜ、いまこんな非常時にこんなもの思い出してしまうんだろう。
これは一種の現実逃避だよねぇ。

明日。
アサリかニジマス、どっちかあるほう。
でも気分はレモンバターソースだなぁ。
なければ、白身魚、なにがあるかな。
なければ鶏。鶏ももはあるから、レモンだけ買えばいいか。
あ、生ハムも。パスタにしてもいいしね。
いや、うろうろしません。さささ、っと。



朝起きて、バタ―レモンソースの誘惑が力を失っていますように。









コメント

はち
2020年4月15日23:41

惹かれますね,さすが池澤夏樹。もちろんそれを見つけてくる,美藤さんのセンスも好き。
魚屋さんで,ときどきニジマス見ますよね,でも魚屋さんに並んでるニジマスに惹かれたことはないけど,この料理のためなら買ってもいいかも(笑

今年の頭ぐらいからか,荻窪の魚専門店で「静岡産のサクラマス」として売られてる魚を見ることがあって,サイズは30センチほど,もちろん養殖,それもなぜか淡水養殖らしい,見た目はスモルト化したイワナという感じ。ちょうど,これが気になってしょうがなかったので,今度生ハムとマリアージュだ!でも,テレワークになってから荻窪にさえ出る機会がなくなったんだよな
ちなみに,海産養殖のサクラマスも売られているけど,こちらは切り身でしか見たことがないので,生ハムが挟めない

美藤
2020年4月16日21:09

はちさん

スモルト化とかサケ・マス養殖とかちょっと検索してみたら、面白~い、興味深~い!
銀毛化って降海の準備なんですねぇ。30センチだと成長しきって、もう海へ出る気満々?そういえばヤマメのパーマーク、12~13㎝サイズのまだ幼い個体が一番きれいにでてますもんね。
生ハムやバターを使うこの料理には淡水産の淡白な肉質が合いそうですよね。
でも淡水養殖で30センチって、繁殖用の個体?だったら肉質はどうなんでしょ?
ぜひ食べて感想教えてください。

ずいぶん前にチリ産サケのお話教えていただきましたが、サケ・マス類の生態や養殖の話はほんとうに面白いですね。

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