Afterglow
 
 
こどもの国へ行った。
こどものいない、こどもの国。


多摩丘陵の広いひろい冬枯れの芝地。
乾いた青い空の下には水の抜かれたプール。停車したままのミニSL。
長いながいローラー滑り台も、カラフルなアスレチックジムも静まりかえっている。
ぽつりぽつりと幼児を連れた家族の姿もあるけど、こどもの数より動物を模した遊具の数の方が多いだろう。ライオンの笑顔もゴリラの笑顔も凍りついている。



この風景はもしかしたらホラーかも?と可笑しくなる。
淋しくはないけど、あまりの広大さに、冬晴れの明るさと暖かい陽ざしがあって良かったぁと思う。

1965年開園の、昭和な遊園地にいまどのくらいひとが来るのかわからないけど。
コロナの緊急事態宣言下でスケートリンクもイベントも休止中だし、厳冬の1月だし、月曜日だし、ね。





ここへはイサムの遊具を見に来た。
札幌のモエレや高松のアトリエに遊びに行った頃に、「こどもの国」の遊具もイサムが直接手掛けたというのを知って、近いからそのうち見に行こうかと思って、、何年?
昨秋から公園巡りをしていてふと思い出して行ってみた。
園内の北西、椿の森の入り口、閉鎖された大温室の先にひっそりと赤いオクテトラが遊んでた。トンネル遊具の丸山はこじんまりと小さくて、石組みのエントランス通路も苔生していい感じ。まあ、こどもは遊びにここまで来ないだろうけど。おとなも来ないかな?行き会ったのは遊具の点検をしてるスタッフと椿の写真を撮っていたおじいさんだけ。

この、ほうっておかれて、サビシイようで、でも淋しくない感じがイサムの遊具の空気なんだよね。たぶん、遊具のフリしたオブジェだからなんだろうな。

オクテトラを眺めながらランチして、五分咲きの椿の森と裸の桜並木を歩いた。
小さな鳥がたくさんいた。メジロやセキレイ。コゲラのドラミングは案外音がよく通る。一心不乱に木をつついてた。首痛くならないのかしらね。



冬陽がまだ暖かさを残しているあいだに、ホントにサビシクならないうちに、こどもの国を出た。






コメント

お気に入り日記の更新

この日記について

日記内を検索